【MOS】スティーブ・ジョブズの伝記を読もう

パソコンを好きになる方法
「パソコンスキルは必要なのはわかっているけれど、どうも機械オンチで…」こういう言葉を耳にする。
キーボードを触るのも嫌だ…。
パソコン嫌いであれば、その先にある「ワード」や「エクセル」をおぼつかない。
そんな方には、アップル創設者で、パソコンやスマホを世の中に知らしめた、パソコン界のスター、「スティーブ・ジョブズ」の伝記を一読することをおすすめしたい。
・スティーブ・ジョブズⅠ・Ⅱ(ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳)/講談社
現代のパソコンの大衆化の中で、スティーブ・ジョブズの貢献は計り知れない。
彼の破天荒な生き方、こだわり、熱意が、きっと「パソコン愛」がわかるはず。

1.パソコン界のビートルズ
スティーブ・ジョブズを「パソコン界のビートルズ」になぞらえることがある。
MOS(マイクロソフト認定資格)を目指すなら、ジョブズではなくて、ビル・ゲイツじゃね?と思う人がいる。
もちろん、ビル・ゲイツの伝記もそれはそれで素晴らしいことであるが、とっつきやすさでいえば、スティーブ・ジョブズに軍配があがる。
パソコンのオペレーションシステムは、「ウィンドウズ」と「マック」の二大勢力に大別される。ワードやエクセルは「ウィンドウズ」である。
独断と偏見でざっくり言えば、ロック界に例えるとすれば、
・ウインドウズがビートルズ
・マックは、ローリング・ストーンズ
これは異論があるかもしれない。
しかし、パソコンのデフォルト(世界標準)は、ウインドウズであり、マックは、ややマニアックな仕様となっている。
ロック界でいえば、ビートルズがデフォルトで、ストーンズがマニアック。
ローリング・ストーンズを愉しむためには、まずは、ビートルズを聴けという、逆説的な教義と同じである。
(偶然にも、スティーブ・ジョブズもビートルズも、どちらも「アップル」のアイデンティティである)
ウィンドウズのパソコンを愛するために、宿敵のスティーブ・ジョブズの伝記を読む。すなわち、ローリング・ストーンズの音楽を触れるためには、まずは、ビートルズを聴き込む、ということに近いかもしれない。

2.書体へのこだわり
スティーブ・ジョブズのエピソードの中では、私は一番のポイントと思うのは、彼が、学生時代、カリグラフィー(書体学)を専攻したことにあるという。
パソコンを世界に知らしめた人ならば「電子工学」専攻でもいいはずなのだが、実は、ジョブズは「書体学」の経験を重要視している。
というよりも、ビジネスを始めたことは、書体学なんて、何の役にもならないと思っていた節があった。
マックPCにせよ、アイフォンにせよ、アップル製品のデザインが洗練されているのは、実は、スティーブ・ジョブズの美的感覚が反映されている。
日本の「禅」のイメージ、そして、学生時代の「カリグラフィー」によって、フォント(パソコン書体)を多種多様の中から選ぶことができる。これこそが、ジョブズのこだわったところであり、それまでのマイコン(パソコンの前身)では、文字が味気ない単一アルファベットに過ぎなかったものを、側近たちの忠告に我関せず、バラエティに富む書体を開発させた、ジョブズのこだわりがある。
ジョブズ自身が、カリグラフィーを専攻していたので、書体にこだわったのは事実だが、「カリグラフィーとコンピュータ」と、一見、なんの脈絡もない、掛け合わせこそ、天才が天才たるゆえんである。
私が、パソコンスキルをおすすめしたいのは、そこにある。
パソコンを学ぶこと(具体的には、MOSの資格にチャレンジすること)は、人生に老いって、まったく意味がないことと思われるかもしれない。
けれども、パソコン技術は、ふとしたことで、他のスキルとの相乗効果を生み、自分が予想すらしていない「スキルの掛け算」を生み出すことができる。
極端な例でいえば、英語が凄くできる人より、英語とパソコンが「そこそこできる」人の方が、スキルの相乗効果を生み、何かと重宝することになる。

3.偉大な芸術家は盗む
スティーブ・ジョブズの考えが革新的なのは、それまでの観念にとらわれないこと。
コンピュータを操作するたには、キーボードを使わなければならない。
しかし、ジョブズは、このキーボードが嫌いであった。
そこで、マウスという発想にたどり着く。もちろん、マウスだけでは、パソコンを操作できないが(キーボードをまったく使わないことにならない)、それでも、マウスの存在が、ユーザーフレンドリー(使い勝手)のよい道具であることは間違いない。
キーボードとともに、ジョブズが嫌いなものに「タッチペン」というものがある。
モバイルPCや初期のマルチ携帯電話は、タッチペンを使うのは主流だったが、ジョブズのタッチペン嫌いが功を奏して、「指タッチ」という現在のスマホの源流技術にたどり着く。
ジョブズは、パソコンを、いかにふつうの人が使える道具になるのか、そればかりを考えていた節がある。
圧巻なのは、ゼロックス社に見学に行った際、そこでゼロックスの技術を見て、ディスクトップという発想にたどり着く。
パソコンのスクリーンを「机」に見立てて、ファイルを展開したり、整理したり、ゴミ箱に捨てたりとする。元来、ゼロックスの技術だったが、それを同社が商品化していなかった。「これは宝の山だ」と、ジョブズは直感的に見抜いて、アップル社のパソコン技術に取り入れた。
「優れた芸術家は真似る。偉大な芸術家は盗む」
ゼロックス社との一件を、ピカソの名言になぞられて、ジョブズは振り返っている。
ディスクトップの発想は、後発のウィンドウズにも、多大な影響を受けている。
ゼロックスから盗んだジョブズは、やがてビル・ゲイツに盗まれる(と、ジョブズ本人は思っている) というのも、なんともドラマチックな展開である。

4.まとめ(今こそジョブズ)
スティーブ・ジョブズは、マイコンをパソコンに変えた天才である。
それは、踊る音楽だったロックン・ロールを、聴く音楽のロックに変えたビートルズになぞらえる、コンピュータ界の革命児である。
禅の影響を受けたシンプルなデザイン、多彩な書体、そしてキーボードの補助としてのマウスの発明、さらには、モニター上での「ディスクトップ」という整理整頓のという発想。
ジョブズの偉業は「パソコン嫌い」を克服するためのヒントがある。
パソコンのマニュアルを読んでも、よくわからない…。そんな方には、スティーブ・ジョブズの伝記を一読することをおすすめしたい。

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