仕事は、難しい方が面白い。
ルーティンで「ちゃっちゃ」とこなせる仕事がある一方、プレーヤーが多く参入して、事態がぐちゃぐちゃになる。上司や幹部の説明も要すようになり、なにより、かかわっているアナタ自身が胃の痛む経験もあることでしょう。
こうしたイレギュラー案件がきたら、マイクロソフト社(MS)の基本ソフト、ワード、エクセル、パワーポイント(パワポ)の出番です。
MSソフトの三種の神器を駆使して、イレギュラー案件の整理整頓をしましょう。
1.ワードで時系列表
まず準備しなければいけないのは、時系列表。
たいがい、今のビジネスシーンでは、Eメールや電話、応接が、案件のはじまりになることでしょう。
私の場合、「これは今後もこじれることになりそうだな」ということであれば、まず、ワードで「時系列表」を立ち上げる。
時系列表といっても、作りは極めてシンプル。ワードの新規文章に、「日付」を入れて、そこに、Eメールやら、応接メモやら、なんでもカンでもコピペしておくこと。
だから、相談に来るお客さんには、相談内容の趣旨をなるべくテキスト化して持参してもらうか、あらかじめメールで送ってもらうかにしてもらう。
メールの場合は、発信者と受信者、案件名も記載しておく。自分が受けたメールだけでなく、自分から発信したメールも「時系列表」にコピペしておこう。
どんな些細なことでも、メモして「時系列表」にコピペなり直接入力するなりを忘れないこと。
ワード文章で書いた「時系列表」のキモは、キーワードで検索できること。
たとえば、A氏、B氏、C氏といった、案件によっては、複数のプレーヤーが出てくることも多いが、検索することによって、各自の考え方が見えてくることがある。
同様に、法人や関係機関も、甲社、乙団体、丙組織という具合に、こちらも、時系列表が膨大になっても、キーワード検索が可能になる。
応接録を「時系列」にコピーするだけでなく、時系列表に入力した発言要旨や出来事などを、今度は、逆に「応接メモ」「日報」などに起こすことができる。
そして、こうして作成した「時系列表」は、可能な限り、紙で印刷しておくことがおススメ。パソコン画面ではなく、実際に紙にプリントアウトされた出来事を読むことで、見えてこなかったことが見えてくる。
ビジネスの日常で、「これはこじれそうだな…」という案件に出くわしたら、とりあえず、ワードによる時系列表を立ち上げるクセをつけよう。
2.エクセルで名鑑・用語集
ひとつの案件で登場人物や法人・団体が多くなったら、それをエクセルにひとまとめにする「デレクトリー」をつくろう。
デレクトリ―とは、名簿とか住所録とかをイメージしてもらいたい。
エクセルには、先頭行は色分けして項目を作り、それをスクロール固定しておこう。
やってはいえないことは、「セルの結合」「1セル1データ」という鉄則を守ろう。
当初予期していた以上に、案件のプレーヤーが出てくるために、主キー(プレーヤー事のID番号)もつけておくことにしよう。
仕事のほとんどは、人が関わることである。
人物、法人・団体といったプレーヤーを一覧でわかる名鑑を、用途別にシート毎に作成してみよう。
たとえば、シート1に「登場人物」、シート2に「登場法人・団体」、シート3に案件で交わされている専門用語集などをまとめておこう。
プレーヤーの多い案件などは、顔写真でもあればいいのだが、さすがに入手は難しいので、名刺交換した際には、お名刺をスキャンしておき、名鑑に更新しておくことで、記憶が残ることもある。
また、顔写真や名刺スキャンによるエントリーは、パワポのチャート作成でも役立つことになるので、ちょっとした手間を惜しんではならない。
3.パワポでチャート
案件がこじれて、上司や幹部へ伺う羽目になった場合、A41枚のチャートを準備しよう。その際、使えるのは「パワポ」である。
パワポはプレゼンソフトであるが、私の場合「お絵描きソフト」として、使用している。上司や幹部への案件説明に際して、まずパワポ1枚のチャートで、背景や主要プレーヤーの整理、その後、必要に応じて、ワード文書で作成した「案件要旨」などをまとめている
なんでもかんでもパワポで済まそうとして、細かい文章を入れてくる輩が多いが(特にお役所の説明文に多い)、報告される人は多忙である。
短い時間で、わかりやすく案件を把握しておいたほうがいい。
立派なパワポでなくていい。
誰が何をやっていて、どういうことが起こっているのか、を把握できる「図表」(イラスト)が欲しいのだ。
新聞記事の事件やドラマなどの「相関図」をイメージしてもらいたい。
そこで発揮されるのが、エクセル名鑑で作成した「顔写真」や「お名刺」の活用である。ワードの時系列の発言要旨をコピペして、誰が何を言っているのは、整理、把握しておこう。
もちろん上司や幹部向け資料だけではない。
アナタだけの戦略資料もチャートで書いておこう。
上司や部下、同僚に「とても見せられない」部内の「立ち位置チャート」を作成して、あなたが仕事を、いかに迅速に、かつ、いかに難局を楽しんで処理するかについては、パワポのチャートを作成しておくと、全体像がはっきり見えることになる。
パワポは、横スライドがデフォルト設定されているが、私の場合、A4縦にアレンジしている。
印刷して、回報する際、ワードやエクセル文章と合わせるのに、A4縦サイズのパワポが、いちばん理解が得やすいと実感しているので。
4。まとめ(MSソフトで遊ぼう)
私の仕事の流儀は、難局を楽しむことにある。
わからない事例を、わかりやすく、そして、楽しく。
それが私の仕事のモットーであり、ワード、エクセル、パワポの三つは、ビジネスの武器であると同時に「あそび道具」でもある。
難しい案件が勃発しようがしまいが、ビジネスの局面において、テキスト化、デレクトリ―化、チャート化の三要素は必須スキルである。
パソコンに詳しいと自負する人は、結構、こうしたバランスを欠いている人が多い。
引継ぎ不可能なマクロを組んで、「ご立派な」エクセルファイルを作って、悦に浸るのは、とても厄介な存在である。
しょせん、ビジネスは、人間対人間、
いかに、短時間で、わかりやすく、ストレスフリーに事態を把握できることが、必要不可欠になってくる。
MSソフトの三要素を駆使することで、それが可能になってくる。
ワードを使ってテキスト化するクセをつけよう。
エクセルを使ってデレクトリ―化を作成しよう。
パワポを使って案件をA4一枚で事態の「チャート化」を着手しよう。
仕事を通じて、MSソフトを駆使し、内なるクリエーター魂を発揮してみよう。