貿易従事して30年の私。
これまでもいくつかの「資格」を取得してきたが、ぶっちゃけ、いちばん役に立った資格は、TOEICである。
TOEIC730点以上、取得してから、がぜん、国際貿易や通関の仕事が面白くなった。
もちろん通関士をはじめ、現在も勉強を継続している「貿易実務検定」や「STCアソシエート」もそれなりに役立つ。しかし、何からはじめたらいいかわからない人には、とりあえず、TOEICにチャレンジすることをおススメしたい。
1.貿易実務のデフォルトは英語
貿易実務者にとって、必要不可欠なスキルは「英語」である。
なにしろ通関書類のほとんどは「英語」で書かれているから。
貿易実務者にとって、英語スキルはデフォルトである。
英語ができれば、とりあれず、どんな部署であれ、出来て損はないというのが、30年の経験から言えること。
物流倉庫や輸入の仕事、そして現在は輸出業務に携わっているが、英語ができるようになって「良かった」と思える瞬間が多々ある。
TOEICの資格が必須といっても、ハイスコアはいらない。
少なくても600点、できれば730点は欲しいところ。
800点、900点は、もう趣味の世界なので、TOEIC一辺倒では、何かを「犠牲」にしなくてはいけないきらいがある。
もちろんTOEICスコアにこだわることも悪いとは思わないが、現場で「肌」で感じるのは、とりあえず、通関書類(英文)がひととおりざっくり理解できる「730点くらいでいいんじゃね」というのが正直なところ。
私は、TOEIC730点突破が48歳の時。
ちょうど700点を超えたあたりから「英語そのもの」が楽しくてしょうがない時期である。職場においても「英語絡み」で、アテにされるのが、700点以上になってから…。
そして意外と思われるのが、英語が苦手な人が、けっこう貿易界隈でも多いということ。何を隠そう、20代、30代の私がそうであった…。
40代前半で身体を壊し、これじゃいけないな、と思い、生き残り戦略として、とりあえずやり出したのが「英語の勉強」。そこから、とにかくTOEICを受けまくり、430点から760点までスコアアップ。英語ができるようになると、それが自信につながり、職場においても、どん底からの「V字回復」が図られた。
まさに、英語(TOEIC)によって救われたと言える。
2.TOEICは汎用性が高い
TOEICはビジネス英語能力を測る上での指標となる。
多くの企業がTOEICを海外赴任や昇進条件の参考にしているのは、良質な資格であることの裏返しである。
努力は裏切らないので、対策をきちんと練れば、ある程度(目標とする730点)まで達成できる。
私の場合、朝の1時間、TOEIC対策の勉強を習慣化することで、じりじりとスコアを上げてきた経緯がある。
そして、何よりTOEIC資格の強味は、貿易業界にとどまらず、汎用性が高いということ。グローバル化した世の中において、どの業界でも「英語はできて損はない」ということ。だから、貿易業界にとどまらず、他の業界でも生かすスキルである。
同じ時間で、資格にチャレンジするなら、より汎用性の高い「TOEIC」を選ぶのが得策と思える。そしてTOEICスコアが身に着くことによって、「こんな会社いつでも辞めてやる」というような覚悟ができるのである。
たとえば、貿易業界では「通関士」や「貿易実務検定」という資格があるが、これは貿易業界でメシを食うために活用される資格であるが、TOEICは、貿易業界のみならず、他業種においても役立つ資格であるので、勉強をしたい、資格をとりたいけれども、何からはじめたらいいかわからないという人にとっては、TOEICにチャレンジすることを、強くおススメしたい。
3.貿易実務者の資格
資格というのはよくできている。
何か勉強をしたいと思ったら、とりあえず資格試験の合格を目指した方がいい。
やみくもに勉強するならば、ペースメーカーとして「資格の活用」をおススメしたい。
貿易実務経験30年の私が、資格で失敗したと言えるのは、合格に「あぐら」をかいてしまったことである。
私の場合、入社してすぐ、英検2級を目指す選考研修に落選したことに単を発する。
それが「英語嫌い」になり、20代の早い段階で「通関士」にチャレンジ。これに合格した。自分は英語は苦手なので、あえて英語とは距離を置いた。
通関士に合格したことで、「あぐら」をかいてしまい、その後の勉強のメンテナンスを怠っていたのが反省すべき点であった。
当時も英検・TOEICをはじめとする英語系の資格は人気であった。一方、どちらかといえば、マイナーな「通関士試験」さらには、貿易業界では超マイナーな「宅建試験」にも合格。「英語ができなくてもなんとかなるさ」とばかりに「わが道を行く」という戦略を取った。そこに慢心が生まれたのも事実。もしも20代の自分に戻れるとしたら、「だから素直に英語の勉強をやれ」と言いたい。
「通関士」と「宅建」の資格の強味が生きるのは、40代後半、TOEIC試験で、そこそのスコアを取ってから。そこに、「英語×貿易×不動産」という、資格スキルの相乗効果が生まれたことで、職場においてユニークな人材になれたことが実感できた。
換言すれば、通関士も宅建も「TOEIC」のおかげで、存在が引き立った。
だから貿易業界に身を置く人やそうでない人も「英語」ができるようになりいたいのならば、TOEICにチャレンジすることを勧める。通関士や貿易実務試験なども「大切」だが、英語力の向上は頭の片隅に常に入れておいた方がいい。
4.まとめ(貿易実務30年の総括)
貿易業界に従事して30年。
自分や周りを振り替えてみても、TOEIC試験のレベルアップというのを最優先に考えた方が良い。
・少なくても600点、できれば730点以上
中級者で構わないので、英語は貿易業界のデフォルト(共通言語)であり、汎用性も高いので、何か勉強をしたいt考えているのならば、手をつけた方が良い。
・通関士、貿易実務検定はTOEICと共に
貿易系の資格を生かすには、やはりTOEICとの相乗効果ががいい。
資格マニアになる必要がないが、通関士や貿易実務検定の資格が気になる方は、なんらかの資格の重要性がわかっている人なので、これらの資格と合わせて、TOEICの併用を強くススメたい。
勉強は一生続くものである。
貿易従事者のみならず、知的レジャーとして、そして趣味と実益を兼ねたゲームとして、ぜひTOEICにチャレンジしてもらいたい。