貿易業や通関業に従事していない人がどうすれば通関士になれるのか。
通関士は、輸出入者に代わって税関に通関申告をする国家資格である。
狭き門ではあるが、独学でも十分、合格可能な試験である。
もちろん貿易実務や通関業に身を置く人は「有利」ではあるものの、努力如何によっては、合格は十分可能である。
・書籍にカネを惜しまず
・イメージ力をつける
・勉強習慣をつける
この三つさえクリアになれば、独学で合格の道が開けるであろう。
以下、自分が通関士に合格した経験を踏まえて、勉強のコツを紹介する。
1.書籍にカネを惜しまない
自己投資だと思って、通関士試験に関しての書籍にカネを惜しまないようにしよう。
概して、通関士試験は、マニアックな国家資格(宅建に比べて認知度が薄い)であるため、問題集や参考書類は割高である。
特に、通関士試験で長年の実績のある「日本関税協会」が発行する書籍は、概して割高であるため、購入に躊躇することもあろう。
日本関税協会は、通関士試験関係書籍の老舗であるため、書籍の数もある。
どれを購入すべきか迷うこともあろう。
もしも普段から通関業になじみがない受験生ならば、まんべんなく購入しよう。
基本となる参考書として「通関士試験の指針」、基本問題集としての「問題・解説集」の2冊は、最低でも揃えたいところ。
特に、通関手続きや法令は毎年改正され(改正されるところが出題ポイントとなることもあるため)、最新版を選ぼう。
高価な書籍であるので、古本などで「中古版」を購入しても、内容が古ければ、結局、損になるので、そのあたりを注意してもらいたい。
日本関税協会の通関士対策としては、他に「ゼロからの申告書」は購入しておきたい。申告書作成は、配点も高く、通関士試験の合否に左右されるので、実務で輸出入申告を見たことがない人にとっては、手にいれよう。
私の場合、計算問題が弱いこともあり、同じく、同協会の発行する「計算問題ドリル」と「関税評価ドリル」も併せて活用した。
「計算問題」も「関税評価」も、正しい申告書を作成するためには、不可欠な知識なので、こればかりは、参考書をにらめっこするだけでなく、こうした専門分野に特化した「ドリル」を活用することで、カタチを覚えるしか対策する術がないのが、正直なところである。
いくつかの出版社から通関士対策が出ているので、大型書店などに行って、自分の気に入った参考書・問題集を買うのがベストであるものの、独学や貿易実務に明るくない人が、通関士を目指すのであれば「日本関税協会」が発行する書籍を選ぶことをおススメしたい。
2.通関実務をイメージする
自分のなじみのない業界の資格試験をどう対峙するか。
これは、自分が知っていることに置き換えて考えた方がいい。
たとえば、通関士試験には「通関業法」という科目がある。
「通関業者」と「通関士」との関係は、なかなかイメージがつかみにくい。
そんなときは、たとえば不動産業界に身を置く人ならば「宅建業者」と「宅建士」の関係、観光業界の人ならば、「旅行会社」と「「旅行業務取扱管理者」との関係という、自分に関係がある業務に「置き換えて」イメージしてみよう。
もちろん細部は異なるけれども、「お店」と「働く人」の関係をつかめば、通関業者と通関士の関係が明瞭になるはずである。
さらに、輸出入手続きには、貨物の税番(タリフ)を決定することが重要になってくるが、日常の買物(食品がおすすめ)に出掛けたとき、輸入品に張られたラベルを注視して、このアイテムはどんな税番になるのか、と、イメージすることも「通関士試験と日常生活との親和性」を高める上でも、トレーニングの一環である。
溶融のある人は、通販サイトを利用して、海外から国際宅配便で買物を実際にするのもいいかもしれない。その際は、ぜひ、国際宅配業者から、輸入申告書(許可書)を手に入れよう。(自発的に申し出しないと、書類がもらえないことがあります)
やはりテキストで読むのと、実際に自分が輸入した貨物の書類を見るのとでは、理解の深まり方がまるで違う。
必要があれば、「個人通関」などにもチャレンジするのも一考である。
(ひとととり「個人通関」ができれば、もはや実務上、通関士に合格しなくても、通関業務をやっていけそうな気がするが……)
3.勉強習慣をつける
これは通関士試験に限らないことであるが、一定レベルの資格を目指すのであれば、毎日の勉強習慣をつけたほうがいい。
休日にまとめてやるよりも、毎日、少しでもいいから、勉強習慣を身に付けたい。
とくに「朝の時間」の活用が大切である。
夜に勉強しようと思っても、すでに仕事で疲れてヘトヘト。そんな状態では、明日のために早く寝た方がいい。
資格試験対策には、朝型の方が、頭もスッキリして、効果てきめんである。
朝が苦手という人にとっても、習慣は変えられる。
「朝の時間」を確保する最大のコツは、「夜、早く寝ること」これに尽きる。
朝こそ、社会人にとっての最後のフロンティア。
朝、資格勉強にチャレンジすることで、勉強する習慣が生まれ、仮に合格できたとしても「習慣」が残るので、以降、TOEIC対策や貿易実務検定試験といった、通関士以外の勉強、さらには読書時間や創作時間の確保という、朝にやるべきことをやることで、一日がとても充実する。
通関士試験を独学でやると決めたら、朝型人間に切り替え、朝活として、学習時間を確保しよう。
4.まとめ(通関士合格のために)
「関連書籍のカネを惜しまず」
「試験内容を具体的にイメージする」
「朝に勉強する習慣をつける」
これを実践することで、私は、通関士をはじめ、宅建主任、TOEIC730点、という目標とする資格に合格することができた。
現在も、勉強する習慣が続いている。
通関士試験に受かりたい人は、勉強することに価値を置いてみよう。
資格にチャレンジすること。それだけでも素晴らしいことである。
学習は習慣化してしまえば、継続は容易である。
勉強は一生続くことを肝に銘じ、通関士合格、そして「その先」にあることを具体化して、一歩一歩進んでいこう。