1.はじめに
人工知能(AI)の隆盛によって、宅建士はいらなくなるか?
個人的には、宅建士は生き残ると思う。
ただし、仕事の役割や位置づけが変わってくる。
これまでの法令に基づく不動産仲介もさることながら、人と人をつなぐ「コンサルティング業」「アドバイサー」としての側面が重視されることになろう。
AI時代の到来は、少子高齢化と国際化も進展することになる。
そこで、コンサルティングやカウンセリングとしての「宅建士」に必要不可欠な資格がある。それは「フィナンシャルプランナー(FP)3級」と「TOEIC中級スコア(600~730点以上)」が必要となってくる。
AI時代がやってくるので、宅建試験に合格しただけで、そこに「あぐら」をかいてはいけない。
不動産あっせん業・仲介業から不動産カウンセリング・コンサルティングにシフトするためには、ダブルタスク、マルチタスクのスキルアップが必要不可欠である。
「宅建士試験だけでも大変なのに、そんなマルチ資格なんて無理…」
そう思う方もいるかもしれない。
けれども、FP3級、TOEIC600点は、独学でも十分取得可能である。
今回は、こうした宅建士の不可欠なセカンドキャリアを紹介する。
2.高齢化時代のFP3級
高齢化が進む日本において、まちがいなく不動産ビジネスの右肩上がりになるのは、「相続」に関することである。
不動産のプロである「宅建士」にとって、相続の手続き明るい方がいい。
不動産問題は金融・財政問題でもある。
カウンセリング・コンサルティング業としての側面を重視したい宅建士にとって、「お金のプロ」であるFP資格こそ、持ちたい武器のひとつである。
実際、FP3級の試験は、宅建試験と重なるところもあり、宅建士に合格できる実力があれば、難なく合格できる試験である。
なぜFP3級が必要なのか。
ハローワークが主催する不動産従事者向け職業訓練にも、取得資格として「宅建」とともに「FP3級」が挙げられている。
これは何を意味するのか?
そう、不動産に携わる人間には、FP3級のスキルも切り離せないのである。
実際、私は、宅建主任に合格してから、20年のインターバルを経て、FP3級に挑戦した。FP3級は、「お金」に関するスペシャリストを養う資格なので、勉強が身近でとても役に立った。
日頃から、日経新聞を読んで、「お金の話題」に関心を寄せて、マネーリテラシーをつけることができた。
これからのお客様は、不動産取引の場合、不動産のプロのみならず、「お金のスペシャリスト」に信頼を寄せたいと思う。
たしかに法律知識や不動産取引契約においてAIには敵わないかもしれない。
しかし、ヒューマンスキルの一端として、宅建士とFPの掛け算が、コンサル業としての宅建士の生き残る術ではないだろうか。
3.国際化進展と英語
宅建士が「お金」とともに避けて通れないのが「英語」である。
国際化がますます進展する世の中、不動産業界においても「英語」のスキルは必要不可欠になる。
グローバル事業の展開、という広いスケールだけではなく、たとえば少子高齢化が進むと外国人をマンパワーとして頼ることになる。
そんなとき、英語ができる不動産のプロは重宝がられることであろう。
AI技術により「翻訳」は可能であるが、不動産といった専門的な取引においては、「わかりにくいことをわかりやすくカスタマイズできる」ヒューマンスキルの出番が多くなる。
AI技術、IT社会が進み、だれもが身近に英語に翻訳できることになればなるほど、英語の土台(道具や機械に頼らないで自発的な知識)が必要不可欠になってくる。
また、日本はこれから少子高齢化が進み、不動産マーケットも小さくなってくる。
海外へ打って出るチャレンジ精神も、併せて持ちたいものである。
そんなとき、やはりスキルのデフォルト(初期設定)として、英語は避けて通れない。
宅建士にとっては、別にネイティブスピーカーのような流暢に話す英語力は必要ない。「読む、聞く、書く、話す」の4つの要素を網羅した基礎力が必要である。
そこで、TOEIC L&Rテストの登場である。
これからの宅建士は、TOEICの中級スコア、具体的には、「できれば730点、最低でも600点以上」は欲しいところである。
私自身、40才半ばから本格的にTOEICにチャレンジして、48才で、TOEIC760点をマークした。特に留学やスクールに通うことはなかった。
宅建士を合格できるくらいの「勉強家」であれば、TOEIC中級スコア獲得は、決して不可能ではない。
4.まとめ(宅建士のこれから)
Ai技術に負けないスキルを突きたいと思うなら、すでに宅建士を取得している人ならば、FP3級、TOEIC中級スコアの取得は、マストである。
また逆も真なり。
すでにFP3級やTOEIC中級スコアを取得している人にとっては、自分の専門性をアピールするために、宅建士にチャレンジすることを勧めたい
「宅建士」「FP3級」「TOEIC中級」のマルチタスクこそ、AI時代にとって、必須のサバイバル・スキルである。