【不動産】宅建の勉強をして良かったこと

アップルコンピュータの創設者スティーブ・ジョブスは、学生時代、カリグラフィー(西洋書道)を学んでいた。一見、コンピュータビジネスとは何の関係もなさそうな学問であるが、後年、これがパソコンの着想にとても役立ったと回想している。
回り道に見えることであっても、ムダな勉強なんてひとつもないことを物語るエピソードである。

1.私と宅建試験
スティーブ・ジョブズを引き合いに出しておこがましいが、私も学生時代、専攻は民法で特に物権法ゼミに所属していた。(卒業論文は「区分所有権法」)
恩師からは「ウチのゼミ生ならば宅建の資格をとるべきだ」と口を酸っぱくして言っていた。不動産業界には進まず、貿易関係の仕事を選んだ私であったが、師の「宅建へのこだわり」が忘れられず、社会人になっても、業務とは無関係だった「宅建試験」の勉強を続けて、どうにか合格までこぎつけた。
学校を出てから30年余り。
この歳になって、自分がなぜ「宅建」の勉強をしたのか、その意義がわかりはじめた。
「宅建」にせよ「英検・TOEIC」にせよ「通関士」にせよ、持っていて損な資格、時間のムダだった勉強なんてひとつもなかったと言える。
だから、一度、資格に挑戦を決意したなら、それも「運命」だと思って、全力で取り組んで欲しい。「努力は裏切らない」というけれど、一見、今の仕事と何の関係もなさそうに思える「宅建」も、30年の「貿易実務人生」を振り返ると、大いに役に立った資格であった。

2.不動産屋さんが怖くない
まず、宅建を持っていることの最大のメリットは、自分の住み家に関わること。
アパートを借りるにせよ、マンションを購入するにせよ、不動産屋さんと交渉しなくてはならない。
不動産屋さんと聞くと「よくわからない」とか「怖い」というイメージがある。
でも、自身が宅建の勉強をしていれば「百選危うからず」。
不動産契約の際に買わず「重説」(重要説明)についても、実際に宅建士証を提示されて、説明を行われると、「ふむふむ…、これが重説んってヤツか」なんて、心にゆとりが生まれる。
特に、賃貸物件を借りるだけでなく、分譲物件を購入するに際しては、人生の中でも、もっとも高額な買物であるので、慎重ならざるを得ない。
「ローン審査」や「金消会(金消契約9」など、聴きなれないイベントが続く。
もしも宅建の勉強をしていなかったら、怖気ずいていただろう。
不動産購入という「夢」に向けて、宅建の知識がどれだけ役立ったことだろうか。
また親戚が亡くなったときの「相続」に関しても、「不動産に明るい」という宅建知識を生かしてフルコミットできたことは、宅建を勉強していたおかげである。
学生時代の恩師が「宅建だけは取っておけ」といった意味が、こういうカタチで花開くことは、予想外の展開である。

3.貿易仕事に生かす
私が身を置く貿易業界。
英語やパソコン、会計簿記、貿易知識(通関士や貿易実務検定)など、社員勉強は百花繚乱である。
一方、宅建については、直接、業務とは関係のないので、社内では「宅建保有者」というのは、ユニークな存在である。
それでも、宅建の根源となす「民法」と「不動産」の基礎知識は、貿易業務においてずいぶんと役に立った。
具体的には、契約書や登記が「読める」という人材は、実は重宝されるのである。
特に貿易業界は「物流倉庫」との一蓮托生の関係にあるので、倉庫さんとの話では、宅建の知識を十二分に生かせる機会に恵まれた。
もちろん「宅建」を持っているからといって、それにあぐらをかいていてはダメ。
宅建の勉強で「身に着いた」資格対策の「勉強の心がまえ」が、次なる資格の「通関士対策」や「TOEIC対策」にもとても役立った。
「勉強の努力は決して裏切らない」のである。
おかげさまで、「宅建」「通関士」「TOEIC730点」という、資格の三冠を達成できたことは、会社での「唯一無比の存在」になれたような気がして清々しい。
個々の資格は、それほど難解ではないけれども「宅建」と「通関士」と「TOEIC」の三乗効果は、自分の会社での「立ち位置」を明確にでき「オリジナリティ」を確立することが出来て、今日にいたる。
特に「貿易業界」に身を置く者としては、一見、何の関係もない「宅建」の有資格者であるため、たとえば仕事で嫌なことがあっても「こんな会社、いつでも辞めてやる」という覚悟ができるだけでも、メンタルが強くなったような気がしている。

4.不動産投資の夢
先行き不透明な時代、副業が花盛りである。
基本的に私の会社は「副業」は認められていない。
けれども「太陽光発電」とか「農業」とか「執筆」とか、兼業(副業)の道がまったく閉ざされてるいるわけではない。
株やFX取引、そして不動産投資も御多分に漏れず。
本業をおろそかにしないことや、業務規模を守れば、「不動産投資」をすることは、現実には可能である。
不動産投資とは、すなわち「不動産賃貸経営」に他ならない。
会社に隠れてコソコソ副業に精を出すのではなく、正々堂々、不動産投資にチャレンジする道は閉ざされていない。
もちろん本業たる貿易実務は、きちんとこなした上であるが…。
不動産投資を着手するにあたり、宅建の知識があれば、鬼に金棒である。
不動産屋さんとの交渉や、金利の話、土地建物をめぐる法律知識など、宅建の勉強は不動産投資の勉強と不可分の関係にある。
宅建は不動産投資と相性がいい。いうなれば、副業パスポートのひとつである。

5.まとめ(宅建というリスクヘッジ)
「すべての卵を同じカゴに乗せるな」
分散投資を促すリスクヘッジの教訓である。
自分が宅建資格を有していることで、最大のメリットは「リスク分散」といえる。
貿易業界にフルコミットしたり、TOEICスコアに一喜一憂するだけではない。
宅建を持っているということだけで、心に余裕とゆとりが生まれる。
宅建資格者は、貿易実務や英語と違って、貿易業界とは「異色の存在」である。
多様性こそがビジネスの生命線である今だからこそ「異色」が重宝されるのである。
宅建の資格こそが、私にとって最大の「リスクヘッジ」である。

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